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【IGPIパートナー、塩野誠氏が語る!#1】コンサルティングファームの仕事とキャリアパス

みなさんこんにちは。

シティバンク、ゴールドマンサックス、べイン&カンパニーなど数々の外資系企業を渡り歩き、旧ライブドア証券では取締役副社長を務めたという経歴を持つ、
現IGPIパートナー兼マネージングディレクターの塩野誠氏に、
外資系企業の実態についてご寄稿いただきました!

全3回に渡り、コンサルティングファームと外資系投資銀行について語っていただきます。


筆者紹介:

塩野誠 経営共創基盤(IGPI) パートナー/マネージングディレクター

シティバンク、ゴールドマン・サックス、ベイン&カンパニー、ライブドア証券(現かざか証券・取締役副社長)等にて国内外の事業戦略立案・実行、M&A、資金調達、ファイナンシャルアドバイザリー業務に従事。
企業経営者に危機管理やメディア対策についてもアドバイスを行う。
政府系実証実験の採択審査委員等を務め、企業幹部向け研修や国内外において講演を行っている。

東洋経済オンラインでキャリア相談「君の仕事に明日はあるか?」を連載。
慶應義塾大学法学部卒、ワシントン大学ロースクール法学修士


コンサルティング会社とは何か?

コンサルティングファームのしくみ

コンサルティング会社やそこに所属するコンサルタントはクライアント(顧客)である企業に対してアドバイスをすることによってお金をもらっています

これは医者や弁護士がその専門知識によってアドバイスを行って対価をもらうことに似ています。
一般的にコンサルティング会社は企業経営に関してアドバイスをすることによって対価(お金)をもらいますが、コンサルティング会社という業態が生まれた際に法律事務所の組織や報酬体系を模したので、
1時間あたりいくらといった報酬体系やパートナー(共同経営者)と呼ばれる、普通の会社で役員にあたる人々をトップに置いた組織形態も法律事務所に似ています。

通常はファームにおいて各パートナーが収益責任を負っており、パートナー一人あたり~億円という目標が決まっています。
この金額はその事業特性からIT系のファームの方が大きいものです。
実は大昔の投資銀行もこうしたパートナーシップ制でしたが、株式公開を経てバランスシートの大きな企業へと変質した経緯があります。

専門性の高いプロフェッショナル組織が発展した米国では、
法律事務所や会計事務所、そしてコンサルティング会社などを一括して
プロフェッショナルファームと呼ぶことがあります。
「ファーム(Firm)」は会社の意味です。

プロフェッショナルファームは社員の経験やスキルに応じて、
時間あたりの報酬(チャージレート)が決まっており、
クライアントには働いた時間分の報酬を請求することが一般的です。

皆さんが新卒で就職活動をする際に、志望先とされるコンサルティング会社はどれも経営に関するアドバイスを行っていますが、そこではいくつかのカテゴリーに分かれます。

「戦略系」と呼ばれるマッキンゼーやボストンコンサルティンググループ、
会計事務所を出自とするPwCやKPMGといった「会計系」
またIT系コンサルティング会社やM&Aのアドバイスに特化した会社もあります。

よく「ブティックファーム」といった言葉を聞くかも知れませんが、
これは特化型ファームくらいの意味だと思えば良いでしょう。

就職活動においては、なかなかどこの会社がどんな仕事をしているのかがわからないと思いますが、ここで皆さんの人生におけるキャリアが大きく変わってしまいますので少し説明をいたします。

最初に注意点ですが、各コンサルティング会社の業務領域は近年、ますます重なってきており、 どちらかというとフィー(報酬)の水準や得意としている領域で分ける方が良いとも言えます。

例えば規模の大きい会計系ファームが戦略系ファームを買収することもあり、
各ファームは生き残りをかけてコンサルティング領域を拡大しているのが現状です。
領域にはセクター/インダストリー(産業)、地域、企業規模、アドバイスを行う相手(社長、役員、部長等)といった軸があります。

戦略系ファームは経営戦略の提言が軸

まず戦略系ファームですが、主に経営の上流部分、つまり役員や事業部長レベルの事業の方向性や意思決定に対して「経営戦略」のアドバイスを行います。
様々なデータを分析し、その結果を紙に落とし、提言を行います。
基本的にクライアントに提言を行うところまでをスコープ(業務内容)とし、実行には関わらないスタイルでしたが、
近年では提言だけでは付加価値が出せず、実行に関わることも増えてきました。

提言の書かれた紙だけで、月に何千万円、時には億を越える報酬を請求することに関して
クライアントから賛否両論ありますが、
その戦略に報酬を正当化できるだけの経済的価値があれば良いとも言えます。

一方で提言した戦略の実行まで関わると、実行失敗のリスクもとることになり、従来から「コンサルティングビジネス」というビジネスとしてそこには慎重でした。

また、あまり知られていないことですが、戦略系ファームは「M&Aをせよ」という提言をしても、そのM&Aの取引(トランザクションといいます)には関わりません
「M&Aをせよ、実行は投資銀行や証券会社に任せる」ということになります。

戦略系ファームは経営に関する提言だけで大きな報酬を得る為、
コンサルタントは業界の経験と知識で勝る経営者が納得する提言をロジカルに「頭の良さ」でつくり出さなければなりません
そうした本質的な地頭の良さが求められます。
新卒で入った当初は特に数的な頭の良さが求められるため、コンサルタントはエンジニアリング以外で理系の人間に向いている仕事とも言えます。
また、戦略系ファームは請求する報酬の高さからクライアントはおのずと大企業になってしまうのが実情です。

会計系ファームは「商品」の提案がメイン

次に会計系ファームですが、こうしたファームは人数も多く業務も多岐に渡っています。
同じファームでも仕事内容が部署によって細分化されている場合も多いものです。
戦略系ファームと同様に経営の上流の意思決定に関わるコンサルティングも行っていますし、投資銀行/証券会社のようにM&Aアドバイザリーを行っていたり、ITコンサルティングの部門もあります。
戦略系ファームよりもコンサルティングサービスの内容が明確に決まっており、
経営全般について経営陣に戦略の提言を行うというより、
戦略を分解したレイヤーである営業改革、サプライチェーンマネジメントといった「商品」を提案しています。
社員数も非常に多く、新卒で入社した場合は戦略系ファームより比較的固定された業務(商品)に従事することとなります。

会計系ファームは会計事務所から派生した為に財務コンサルティング分野に強みを持っています。
ちなみに監査業務というのは公認会計士の法律に定められた独占業務ですが、
会計業務は誰でも行うことが出来ます

会計系ファームの業務概要を読むとファイナンシャルアドバイザリーという言葉が出てきますが、
これは財務やM&Aに関するコンサルティングを行う業務であり、
特に会社を買収する際に対象会社の調査を行う財務デューデリジェンスを会計系ファームの関係部署は多く手掛けおり、公認会計士も多くいます。


戦略系、会計系ファームについてご説明しましたが、新卒での志望先としてはこうした中から選択していくことでしょう。
コンサルティング会社は名乗ろうと思えば、誰でも名乗ることが出来ます。
長い歴史を持つ確立されたファームに入るのでなければ、そのファームの創業者や主要メンバーの出身や企業文化に大きく左右されますので、よく検討しましょう。

プロフェッショナルファームは日本の大企業を見るように、従業員数が多いから、歴史が長いからと考えるのは間違っています。
基本的にファームの各メンバーがプロフェッショナルとして生きていくべきであり、一生を会社に頼り切ることは出来ません。
また、従業員数の多さはファームの「格」には比例しません。
むしろ少数精鋭を貫けるのであれば、それは良いファームだといえるでしょう。
ファームによっては、大きな費用をかけてMBA卒業生のリクルーティング活動を行った後に、「今年はファームのレベルに合う人間がいなかった」と採用を見送ることさえあります。
グローバルファームのランキングについては米国Vault.com “Consulting firm rankings”などを参考にすると良いでしょう。

コンサルタントのキャリアパス

各ファームによって異なりますが、通常はコンサルティング会社の社内ポジションは4つか5つくらいの階層に分かれています

  • アソシエイト
  • コンサルタント
  • マネージャー
  • パートナー

といった形です。

新卒で入社した場合はアソシエイトとして入り、Up or Out (昇進かクビか)の中で同期が少しずつ減りながら昇進していきます。
新卒アソシエイトの給与は500万円~600万円程度です。
アソシエイトの次の段階でMBAに行って帰ってくる人も多いです。
クビになったり新天地を求めたりと、何らかの理由でファームを卒業していく人も多いものですが、
日本では米国ほどコンサルタントを卒業した人間の行き場は多くないのが現実です。

景気が良ければ成長過程にあるベンチャーの役員になるというキャリアもありますが、
コンサルタント時代の給与を維持して、それなりのポジションで事業会社に転職することは難しいといえます。
特に新卒プロパー文化の日系大企業で中途の若者が高いポジションにつくことは難しいものです。
そうすると比較的給与水準の高い外資系製薬会社に転職したり、オーナー企業に入ったり、自分で起業したりする卒業生が多くなります。

 コンサルティング会社でプロフェッショナルとして生きるということは、
一人のプロとして自分の名前で社内外から声をかけてもらわなければなりません

そういう働き方を選びたいのか、それともじっくり一つの事業会社で昇進していきたいのかを新卒の就職活動ではよく考えるべきです。


編集者より:

さて、いかがだったでしょうか。

実際に外資系企業を多く見てきた経験があるため、とても具体的でリアルな内容までお話しいただけました。
こうした知識を持っているといないとでは、選考の段階でも大きな差が出てくること請け合いですね!

次回は外資系投資銀行について語っていただいています。お見逃しなく!

『ソーシャルランチ』でコンサルティングファームの社会人に話を聞こう!

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