学生を大きく育てる「鴻鵠塾」 代表上田様インタビュー
「日本をもう一度元気にする」という目標のもと、2008年から運営を始め、2012年から本格的に法人化して活動している鴻鵠塾(こうこくじゅく)。
就職活動においては、難関企業に数多くの学生を内定させ、さらに地域活性化プロジェクトでは四国での成果が新聞にも取り上げられる、そんな鴻鵠塾が目指している姿をインタビューしました。
インタビューイー 代表プロフィール:
上田圭祐 / 鴻鵠塾代表理事
2003年3月 中央大学 理工学部 応用化学科卒業
2003年4月 日本アイ・ビー・エム株式会社入社、以後営業9年、営業推進2年を経験。現在はスマーターシティ事業部に在籍。
2008年6月より特定非営利活動法人鴻鵠塾の活動を開始。
2012年2月21日に登記し、現在代表理事。
――鴻鵠塾とはどんな団体か、改めて教えていただけますか?
鴻鵠塾は、
- 就職活動向けの勉強会
- 地域活性化プロジェクト
- 都立高校1年生へのキャリア支援の授業
という3つのプロジェクトを軸に活動しています。
就職活動勉強会では、大手企業や、伸び盛りのベンチャー企業の社員・内定者などを招いて、
「仕事はどういうものなのか?」「会社とはどういうところなのか?」「社会人は毎日会社で何をしているのか?」ということについて、現場の生々しい様子を伝えております。
もちろん、大企業の採用担当者から就職活動に対するノウハウの講義や社会人40名以上での面接練習などを行っています。
こちらは月1回ほど開催していて、毎回約100名ほどの学生に参加していただいています。
鴻鵠塾では人を成長させるのは経験だと考えていますが、ただある程度ノウハウがないと行きたい会社にも行けないという現状があって、それを解決するために就職活動の勉強会を開いています。
とりわけ鴻鵠塾が重要視しているのは、2つ目に挙げた地域活性化プロジェクトです。
私たちは人の成長に欠かせないものは経験で、人をより大きくするのは成長体験だと考えています。
よくプロジェクトというと、「ビジコンで1位になった」とか「海外ボランティアしました」というのが持て囃される傾向がありますが、会議室でやるようなプロジェクトとか、解決策だけ提示して終わりみたいなビジコンでは、経験としては不十分なので、成長に結びつきづらいと考えています。
鴻鵠塾では地域活性化プロジェクトとして、「四国かすがいプロジェクト」というものを主催、実施、運営しており、現地で現実の課題を見つけ、その原因の深堀りを行い、解決策を考えて、それを実行するという一連のプロセスを学生に行ってもらいます。
解決策を実行しないことは無責任ですし、実行するがゆえに、このプロジェクトでは非常に密度の高い経験ができると考えています。
鴻鵠塾は、「日本をもう一度元気にしたい」という想いで5年半続けてきました。
そして、それを実現できるきっかけとなったのが、四国だったのです。
これはなぜかというと、四国って言葉は悪いのですが「課題先進地域」だからです。
四国だけは新幹線(北海道以外)と世界遺産がなく、高齢化の割合や人口減少のスピード、生活習慣病にかかる人の割合、全て四国が日本で一番ひどい状態です。
しかし、そういった問題が集まっているからこそ、それを解決できれば世界中の問題を解決できると思っています。
またこのプロジェクトには、グローバル人材になるための第一歩を踏み出せるというメリットもあります。
私たちは、グローバル人材になるためには"異文化体験"を積むことが重要だと考えていて、四国はその異文化体験にとても適している場所なのです。
インドや中国まで行かなくても、四国まで行けば生活している人の価値観も違うし文化も違います。
そうした中で課題を発見し、問題解決まで行うという異文化体験ができるのに、近くて、言葉が通じて、安全だというところが、四国の素晴らしいところですね。
――鴻鵠塾とは珍しい名前ですが、どういった思いからこの名前を付けられましたか
これは、史記にある「燕雀いずくんぞ、鴻鵠の志を知らんや」という言葉からきています。
「こうこく」塾という響きから、よく広告業界のこうこくと間違えられるんですが(笑)、これとは別の意味があります。
燕雀、つまりツバメやスズメのような小さな鳥は、低いところしか飛べないため、森の中を飛んでいても木しか見ることが出来ません。
ですが、鴻鵠と呼ばれるコウノトリやツルのような大きな鳥ならば、一段高いところに立って森全体を俯瞰して見ることができます。
鴻鵠塾に参加する学生には、就職活動をただ一つのイベントとしてとらえたり、内定を取ることだけを目的とするのではなく、
「なんで働くのか?」「なんで自分って生きているのか?」について考え直して、より高い視点から"自分の人生"を俯瞰的に見れるような、鴻鵠のような視点を持った人に育ってほしいと考えています。
学生のみなさんには、そういった高い視点を持たないまま、大企業しか見ない、友達が受けるから受ける、マスコミが言っているから受けるということはやめて欲しいと思っています。
自分が受ける会社はどんなことをやっているのか、財務指標はどうなっているのかも見てほしいですし、大企業だけではなく中小企業やベンチャーも見てほしいです。
また、あの企業はブラック企業だという噂を聞いて調べもしないという人もいますが、働いたこともないのに会社を誹謗中傷することはよくないと思います。
――今後、鴻鵠塾をどのようにしていこうと考えていますか?
今後は鴻鵠塾だけでやっていけるよう、お金が回るような仕組みを作りたいなと思っています。
世の中には高い技術力や特許を持っており、世界シェアトップにも関わらずBtoB企業であるという理由で知られていない会社があります。
なのに、学生のみなさんはそういう会社の存在に気づいていないか、視野に入っていないことがとても多いんですね。
ですからこういった企業の方を勉強会に招き、学生との接点や採用の場を提供し、その価値に応じた寄付をいただくことを考えております。
実は私たちにも反省点があり、大企業だけ見るなと言いながら、昨年までは大企業の社員の方にばかり講演してもらっていました。
ですから今後は、大企業と、BtoBの隠れた優良企業、独占的な技術を持っている中小企業、伸び盛りのベンチャーなどの多様な社会人を集め、本当にいい会社を学生に伝えていけるような会になればいいなと思っています。
とりわけBtoB企業や世界シェアトップの中小企業に注目しているのは、海外で活躍したい学生にとってはとてもメリットがあるという理由もあります。
今はグローバルで活躍したい学生がすごく多いですが、間違って、私が所属するIBMのような外資系企業に入社してしまいますと、弊社はアメリカ本社の日本支社ですので、日本人が海外で勤務する機会はほとんどない、という壁にぶつかることになります。
それに対して、世界シェアトップレベルの日系のBtoB企業は、海外で自社の製品を売り込める人材が不足しています。
ですから海外で活躍したいのであれば、外資ではなく、グローバルに進出している日系企業に就職するべきなのです。
例えば3か国語を話せるような優秀な学生ならば、そういった企業に入れば2年目くらいにはもう海外で活躍するチャンスが巡ってくる可能性も高いと思います。
鴻鵠塾としては、今後そういったところも視野に入れてもらえるような活動に力を入れていきたいですね。
いかがだったでしょうか。
鴻鵠塾では、就職活動が本格化している期間中、勉強会を随時開催しています。
皆さんも、この機会を逃さず、鴻鵠塾に参加してみてはいかがでしょうか。